「四人以上の飲み会がつらい日──“弁当作戦”で守った小さな余白」

アクセンチュアが“原則出社”へ転じた、というニュースが流れた朝。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/24/02414
チャットの通知の奥で、私の予定表にも久々に「歓迎ランチ」「懇親飲み会」の文字が戻ってきた。
コロナ禍で薄れていた―― 飲み会 行きたくない という感覚が、急に輪郭を取り戻す。
私は一対一の語らいが好きだ。けれどテーブルの人数が四を超えた途端、声色と笑顔の洪水に呑み込まれてしまう。大人数 苦手──そう自覚があるからこそ、以前はアルコールで輪郭をぼかしていた。今は禁酒しているため、酔いというフィルターは使えない。
ADHD の診断を受けた身としては、話題が秒速で切り替わる飲み会は“情報の弾丸列車”だ。頭の中がオーバーヒートし、帰宅後ベッドに倒れ込みながら「なぜ参加したのだろう」と自分を責めていた。
転機は三十代に入った頃、ふと思いついた “弁当作戦” だった。
毎朝、お弁当を用意して出社するだけ。すると「今日は外に食べに行く?」というお誘いが自然と減った。誘われなければ、断る罪悪感も生まれない。空いた昼休みは、静かな会議室でメールを整理したり、読みかけの本をめくったり。
試しに同じ発想で夜の予定も見直してみた。歓迎会・忘年会など“セレモニー色の濃い場”だけ参加し、それ以外は丁寧に断る――そう決めたら、驚くほど心が軽くなった。
私が実践してわかった「小さな3つの作戦」
作戦 | 具体的なやり方 | 効き目(体感) |
---|---|---|
弁当作戦 | 毎日手作り弁当を持参し“誘いにくい人”のイメージを定着させる | 誘いが激減し、昼休みが静寂タイムに |
1対1リクエスト | 「その話、二人でゆっくり聞かせてください」と切り出す | 深い対話が生まれ、人間関係の質↑ |
セレモニー限定参加 | 歓迎会・送別会など“行事”は出席、それ以外は断る | 周囲の理解を得やすく、バランス◎ |
これらの作戦を半年続けた結果、仕事の評価が下がるどころか集中力が上がり、成果物のクオリティも安定した。
何より、家に帰っても体力が残っている。息子の寝かしつけをしながらウトウトせずに済む夜が増えた。
もちろん、人と会うこと自体を否定するつもりはない。私は今でも、一対一の飲み語りが大好きだ。ただ、“参加する/しない” の取捨選択の精度を上げただけ。
もしあなたのカレンダーにも、四人以上の集まりがいくつも並んでいるなら――
予定をひとつ開き、「保留」に変えてみてほしい。
行かない勇気は、誰かを傷つけるものではなく、あなたの感覚を守る小さな盾になる。
その盾を手に、明日の朝に少し澄んだ頭でコーヒーを啜る自分を想像してみてほしい。