「即戦力にならなきゃ」と思いすぎていませんか?

― 昭和・平成・令和に見る“新卒意識”の変化と、自分のペースで働くということ ―
最近の調査によると、2025年卒の内定者の多くが、入社前に「業務を学ぶ機会」を求めていることが明らかになりました。
25卒が内定期間中にフォローしてほしかったことは「業務を学ぶ機会」—ALL DIFFERENT調べ (HRzine)
ALL DIFFERENT社が実施した入社直前意識調査では、内定期間中にフォローしてほしかったこととして、「業務を学ぶ機会」が最も多く挙げられています。これは、令和の新卒者が即戦力としての準備を重視していることを示しており、時代の変化を象徴しています。
このような変化は、昭和・平成・令和と時代を追うごとに、新卒者の意識や企業の期待がどのように変化してきたのかを考える良い機会となります。
このような変化は、昭和・平成・令和と時代を追うごとに、新卒者の意識や企業の期待がどのように変化してきたのかを考える良い機会となります。
以下では、各時代の新卒者の意識変化をたどりながら、「どうすれば無理せず、自分のキャリアを築いていけるのか」という問いについて、私自身の経験を交えて考えてみたいと思います。
◆ 昭和:会社が育ててくれるのが当たり前だった時代
戦後から高度経済成長期にかけて、日本では「終身雇用・年功序列」が当たり前でした。
新卒一括採用で入った若者は、企業の中でじっくりと育てられる存在でした。
新人研修も数ヶ月にわたり、「社会人の心構え」や「組織人としてのふるまい」が最優先されました。
「仕事は会社に入ってから覚えればいい」
そんな考えがごく自然に受け入れられていた時代だったのです。
◆ 昭和:会社が育ててくれるのが当たり前だった時代
戦後から高度経済成長期にかけて、日本では「終身雇用・年功序列」が当たり前でした。
新卒一括採用で入った若者は、企業の中でじっくりと育てられる存在でした。
新人研修も数ヶ月にわたり、「社会人の心構え」や「組織人としてのふるまい」が最優先されました。
「仕事は会社に入ってから覚えればいい」
そんな考えがごく自然に受け入れられていた時代だったのです。
◆ 平成:不安をきっかけに、“備える”時代へ
バブル崩壊と就職氷河期を経て、企業の新人育成には余裕がなくなっていきます。
「入社後に育てる」から「ある程度できる人を採る」へと流れが変わり始め、
1997年頃からインターンシップ制度も広がっていきました。
学生側も「準備しておかなきゃ」という意識が強まり、在学中から職務体験を積むのが当たり前に。
キャリアの入口で「実務経験がないと不利」と感じるようになったのも、この頃からです。
◆ 令和:即戦力化が前提となる時代
令和に入り、働き方改革やコロナ禍の影響で、企業の新人研修は短期化・効率化が進みました。
Z世代の若者は「タイムパフォーマンス」を重視し、自分に必要なことを主体的に学ぶ姿勢を持っています。
企業もそれに応える形で、内定者向けのeラーニングやオンライン研修を提供するように。
「入社前からある程度のスキルを持っていて当然」――そんな風潮が、今では珍しくありません。
◆ 焦らなくてもいい。ただ、できることを丁寧に
ここまでの流れを見てくると、
「じゃあ、今の若者や転職者は、最初からできるようにならないといけないのか?」と感じるかもしれません。
でも、私はそうは思いません。
私自身、20代のころ「成果を出さなきゃ」「周りと比べて遅れてる」と思い詰めて、しんどくなったことがありました。
ADHDの特性やメンタルの不調もあって、うまくできない自分を責めることも多かったです。
でも今振り返ってみると、「すぐに結果を出す」ことよりも、
**「自分にできることを、丁寧に・愚直にやり続ける」**ことのほうがずっと大切だったと感じています。
◆ わくわくする気持ちは、小さなヒントになる
もうひとつ、大事にしていることがあります。
それは、「わくわくする気持ちを無視しないこと」。
早く一人前にならなきゃと思う気持ちはわかります。
でも、職業人生はとても長い。ずっと「誰かに認められるため」だけに頑張るのは、きっと息切れしてしまいます。
少しでも「おもしろそう」「やってみたい」と思えることがあるなら、
それをきっかけにして、歩み出してみるのもいいんじゃないでしょうか。
わくわくは、進む方向を見つけるヒントになる。
そんなふうに考えられたら、自分のペースで進んでいける気がするんです。
◆ おわりに:比べる相手は「昨日の自分」でいい
社会や企業の変化にあわせて、新卒者や若手への期待も大きくなっています。
でも、すべての人が一斉に“即戦力”になる必要はありません。
大切なのは、自分の状態や特性を理解しながら、できることを積み重ねていくこと。
そして、**比べるべきは「誰か」ではなく、「昨日の自分」**であること。
そんな風に、自分に合ったペースでキャリアを育てていく人が増えていったら、
少しだけ生きやすい働き方ができるようになるかもしれません。